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吉村由多加

 

 

略歴

2024年4月〜現在 統計数理研究所 外来研究員

2024年4月〜現在 国立極地研究所 先端研究推進系 地圏研究グループ 特任研究員

2022年4月〜2024年3月 福岡大学理学部 非常勤講師

2021年4月〜2024年3月 九州大学大学院比較社会文化研究院 学術研究員

2021年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科/東京大学大気海洋研究所 博士課程修了

2017年3月 京都大学人間・環境学研究科 修士課程修了

2015年3月 神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業

2010年3月 大阪府立大手前高等学校 卒業

1991年4月 大阪府生まれ

学位

2021年 博士(環境学)Paleointensity of the geomagnetic field around 30 million years ago estimated from volcanic rocks of the Afro-Arabian Large Igneous Province」指導教官:山崎俊嗣

2017年 修士(人間・環境学)「エチオピア洪水玄武岩を用いた30Ma頃の地球磁場変動の解析」指導教官:石川尚人

2015年 学士(理学)「マレーシア・マランに分布する ジュラ紀~白亜紀赤色砂岩Tembeling Groupの 古地磁気学的研究」指導教官:乙藤洋一郎

研究航海

2019年 新青丸KS-19-8航海@フィリピン海北部(5月17日〜26日)

2018年 第三開洋丸航海@伊勢湾&三河湾(9月27日~10月1日)

2018年 白鳳丸KH-18-2航海@四国海盆(7月13日〜23日)

 私の専門は「古地磁気学」「岩石磁気学」です。古地磁気学からは、過去の地磁気の極の位置やその変動、岩石磁気学からは地質試料に含まれる磁性鉱物の磁気的な特性を明らかにすることができます。また、それらの研究に伴い「放射性年代学」や「地球化学分析」も行ってきました。大目標としては、過去の地球内部の進化を古地磁気・地球化学・地球物理学などを広く駆使して解明したいと考えています。

古地磁気=地磁気の化石

 石や堆積物に記録された過去の地磁気記録のことです。マグマが冷え固まる時や、堆積物が海底に降り積もった際に、当時の地球磁場の方向と強度を記録します。地球上に存在する火山岩、深成岩、堆積岩、そして深海堆積物などを対象として、昔の地磁気の研究を行う学問のことを古地磁気学といいます。現在、火山岩と考古資料を用いた古地磁気強度の復元研究を行っています。

地磁気強度による考古資料の年代決定

 考古学資料の年代編年は過去の人類社会の進化を考える鍵となる情報です。考古学資料(例えば土器、瓦)が加熱されて作られたものであれば、当時の地磁気の方位と強度を記録してくれるので、それを測定し、地磁気変動の標準曲線と比較することで作られた年代を決定することができます。これは炭素14年代測定と相補的であり重要です。地磁気強度を用いた考古資料の年代決定には、地磁気強度の標準曲線の確立が必須です。現在、弥生土器を用いて古地磁気強度を測定し、弥生時代の地磁気強度標準曲線を構築することを目指した研究を行なっています。

平均古地磁気強度の復元

 地球磁場はさまざまな年代スケールにおいて、方向と強度を大きく変動させます(永年変化)。そのため、平均的な姿を復元するためには多くのデータが必要になります。特に絶対古地磁気強度については加熱を伴う実験により推定を行うので、試料の性質によっては全く強度を推定できない場合もあります。また、実験には多くの時間がかかります。このように、たくさんの強度を推定するのは技術的にも労力的にも簡単ではないので、平均的な古地磁気強度の理解は発展途上です。そこで、生物の大量絶滅・環境変動とのかかわりが深いと言われている巨大火成岩岩石区(Large Igneous Provinces:LIPs)を使用します(LIPsの定義はCoffin & Eldholm (1994)による)。洪水玄武岩とも呼ばれるLIPsは、無数の溶岩流が積み重なってできた溶岩台地であり、古地磁気の永年変化を平均化するのに適した対象です。現在、エチオピアに存在するAfro-Arabian LIPのたくさんの溶岩流を用い、約3000万年前の平均絶対古地磁気強度、および連続的な古地磁気強度変動を推定・復元する研究を行なっています。手法には綱川-ショー法(Tsunakawa & Shaw, 1994; Yamamoto et al., 2003; 山本 & 綱川, 2005)を用いており、現在と比べてかなり古い時代の試料にも適用可能であることを、現在私の研究で実証しつつあります。その平均古地磁気強度は双極子モーメントに換算するとおよそ4×10^22 Am^2であり、先行研究と比較することで過去2億年間にわたって一定であった可能性を見出しました(Yoshimura et al., 2020)。

大陸移動・変形

 ポストプレートテクトニクス理論に求められる目標の一つに、変形しない剛体としてではなく、非剛体な大陸変形の解明が挙げられます。そのために、古地磁気記録を用いて、大陸が動き、ぶつかり、変形した証拠(南北移動、回転運動、折れ曲りなど)を発見することが重要となります。私を含めた研究グループは、マレー半島に分布する赤色砂岩の古地磁気を測定し、マレー半島の二度にわたる回転運動を発見しました(Otofuji et al., 2017)。1度目は時計回り回転で、2度目は反時計回り回転です。その原因は5500万年前のインド亜大陸のアジアへの衝突、および2000〜3000万年前のオーストラリア大陸の北上によるものだと推定できます。世界地図で確認できるマレー半島の「く」の字の構造は、2回目の変形に由来していることが示唆されました。

今後の研究について

白亜紀スーパークロン(=地磁気の非逆転期)

 白亜紀の地球内部で起こっていた現象を突き止めたいと考えています。地磁気は、平均的には数十万年に一度逆転しますが、白亜紀には1億2000万年前〜8300万年前に地磁気がほとんど逆転しない奇妙な時代がありました。これを白亜紀スーパークロンと言います。スーパークロンは過去5億年間で3回発生し、過去10億年間にも9回程度発生した可能性が指摘されています。地磁気を発生させる外核は、核とマントルの熱的境界条件の変化を反映するため、スーパークロンの発生には当時のマントル対流が反映されているはずです。当時のマントルがどのように対流していたかを知るために、当時の古地磁気強度を復元する必要があると考えています。当時のマントル対流が明らかになれば、スーパークロンを起点とした地球史における地球内部進化の解明につながる可能性があります。

古地磁気学を用いた応用研究

 また、古地磁気強度を用いた応用研究にも挑戦しています。例えば、地磁気が大きく変動している時代の地質試料であれば、その変動と、地質試料に記録された古地磁気強度を測定し、比較することによって、どの時代に形成された地質試料なのかを推定することができます。その「地磁気による年代測定」の実現を目指し、考古学的な焼成遺物や海底玄武岩から古地磁気強度を測定する研究を行っています。

所属学会

日本地球惑星科学連合 (JpGU)

地球電磁気・地球惑星圏学会 (SGEPSS)​

American Geophysical Union (AGU)

お問い合わせ

吉村由多加

E-mail: yoshimura.yutaka.36w @ kyoto-u.jp​

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