過去の地球の核やマントルの状況を解明するためには、過去の地磁気の情報(古地磁気)が欠かせません。つまり「地球の中身がどのようにかき混ぜられ、冷やされてきたのか」を知るためには、正確な古地磁気を復元する必要があるということです。地球の内部のマントルは、熱い上昇流や冷たい下降流により対流していて、その変化によって地球の核の冷やされ方が変わります。すると、外核の対流が変化し、地磁気の状態も変化します。別の視点から考えると、地球内部の変動は有害な宇宙放射線の侵入や人工衛星の保全、さらには地球表層環境にも影響を及ぼしているということであり、その理解は我々にとって重要だと言えます。
数千万年の時間スケールで顕著な変化は地磁気の逆転頻度の変化です。ジュラ紀や現在の逆転頻度はおおよそ4〜5回/100万年ですが、白亜紀にはほとんど0だった時期があり、「白亜紀スーパークロン」と呼ばれています。逆転頻度と古地磁気強度がどのような関係だったのかはいまだに不明で、それが解明されれば地球の核の性質そのものに迫れるはずです。そこで私たちは数千万年〜数億年前の火山岩を用いて古地磁気強度を復元する研究を行っています。
また、地磁気は数百〜数千年でゆっくりとその方位や強度を変化させているので、その変化のパターンを利用することにより、考古遺物や海底火山の年代推定ができる可能性があります。その実現に向けて、考古遺物や海底火山から古地磁気強度を復元し、その信頼性の鍵となる磁性鉱物の性質解明にも挑戦しています。
(最終更新:2023/12/15)
今後の予定
2024/12/26-27:研究集会「地球科学と考古学・人類学の協働による人類進化環境の復元」@高知にて口頭発表を行います!
最近の活動
2024年
2024/12/09-12:AGU Annual Meeting@ワシントンD.C.に参加し、発表を行いました。要旨へのリンク
2024/12/05:第一回北極域研究船「みらいⅡ」シンポジウム@立川に参加しました。
2024/12/04:第15回極域科学シンポジウム@立川に参加し、発表を行いました。
2024/11/25-26:地球電磁気・地球惑星圏学会 2024年秋季年会(SGEPSS2024)@立川に参加し、発表を行いました。
2024/11/22:リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)の事前打合せを高知コアセンターにて行いました。
2024/11/16:数学・数理科学5研究拠点合同市民講演会「世界の謎をひもとく数理科学」-- Math Everywhere --にオンライン参加しました。
2024/10/27:「白亜紀-古第三紀 "Hothouse" の地球システム解明に関する研究集会」にオンライン参加しました。
2024/09/27:2025年度日本学術振興会特別研究員PDに採用内定となりました。
2024/09/18-20:日本地球化学会 第71回年会@金沢に参加し、海底火山の古地磁気強度年代推定に関する招待講演を行いました。要旨へのリンク
2024/09/18:リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)に研究提案が採択されました。
2024/09/11-13:地磁気・古地磁気・岩石磁気夏の学校2024 in 岡山に参加し、発表を行いました。
2024/09/05-06:高知大学に訪問し、Catherine Constable客員教授(スクリップス海洋研究所教授)によるKCCセミナーに参加しました。
2024/08/07-08:「固体地球科学を中心とした学術研究船白鳳丸共同利用への研究提案のためのWS」@国立科学博物館に参加し、発表を行いました。
2023/07:EPS誌の論文の査読を行いました。
2024/06/10:データ駆動科学シンポジウム「ベイズ計測の最前線」にオンライン参加しました。
2024/05/26-31:日本地球惑星科学連合2024年大会(JpGU)@千葉に参加し、発表を行いました。
2024/05/21-22:「西之島の分野横断研究を加速するための研究集会」にオンライン参加しました。
2024/05/15:研究集会「データサイエンスを活用した地球物理・化学データ解析とモデリングの精緻化」にオンライン参加しました。
2024/04/01:国立極地研究所 先端研究推進系 地圏研究グループに特任研究員として着任しました。
2024/03/07-11:鬼界カルデラ火山堆積物巡検@鹿児島に参加しました。
2024/03/06-07:研究集会「Submarine caldera volcanoes: The cutting edge of our understanding achieved by various approaches」に参加し、発表を行いました。
2024/03/01-02:研究集会「地球電磁気学と考古学・人類学の連携による人類生息環境の変遷研究の展開」@岡山理科大に参加し、基調講演を行いました。開催報告
2024/02/22:海洋研究開発機構(JAMSTEC)海域地震火山部門 研究航海シンポジウム(令和6年度実施航海)にオンライン参加しました。
2024/01/07:EPS誌から中央インド洋海嶺の火山活動の古地磁気強度年代測定に関する論文が出版されました。論文へのリンク
2024/01/07:EPS誌に中央インド洋海嶺の火山活動の古地磁気強度年代測定に関する論文が受理されました。
2023年
2023/12/28:地震研共同研究B「機械学習で推し進めるデータ駆動型地球科学の新展開」2023年度第2回研究集会にオンライン参加しました。
2023/11/27-28:東京大学地震研究所共同利用研究集会「海溝海側の変動現象と沈み込み帯へのインプット」にオンライン参加しました。
2023/11/21:研究集会「インド洋ー西太平洋における古海洋環境の変遷」にオンライン参加しました。
2023/09:EPS誌の論文の査読を行いました。
2023/09/25-26:第154回 SGEPSS総会および講演会@仙台に参加しました。
2023/09/19:海洋研究開発機構(JAMSTEC)報告会 JAMSTEC2023にオンライン参加しました。
2023/09/09-10:伊豆大島にて1986年溶岩流の調査を行いました。
2023/07/06:サイエンスカフェ in 静岡 第36シーズン 第165話「岩石・鉱物から火山を探る」にオンライン参加しました。
2023/05/22-24:日本地球惑星科学連合2023年大会(JpGU)@千葉に参加し、発表を行いました。
2023/04/12:GRL誌からエチオピア洪水玄武岩の活動年代に関する論文が出版されました。論文へのリンク
2023/03/31:GRL誌にエチオピア洪水玄武岩の活動年代に関する論文が受理されました。
2023/03/27-28:太宰府市 小正府遺跡の瓦窯跡のサンプリングを行いました。
2023/01/19:「我が国の深海探査機能の近未来のあり方について考えるシンポジウム」にオンライン参加しました。
2022年
2022/11/28:エジプト地質調査所にて約3000万年前の古地磁気強度に関する発表を行いました。
2022/11/20-30:国立科学博物館の佐野貴司博士、産業技術総合研究所・地質調査総合センターの石塚治博士、東工大の石川晃博士、JAMSTECの清水健二博士、松本廣直博士、カイロ大のEzz Khalaf博士、エジプト地質調査所のAhmed Abdel Rahman Ali Soliman博士、Sayed Ahmed Abo ElLaban博士とともにエジプトの溶岩の調査に参加しました。
2022/11/06:「富士山の火山学と防災シンポジウム」にオンライン参加しました。
2022/11/05-06:第152回 SGEPSS総会および講演会@相模原に参加し、発表を行いました。
2022/10/25-26:「宇宙線で繋ぐ文明・地球環境・太陽系・銀河」研究会@京大にオンライン参加しました。
2022/08/23:Marine Magnetics Mini-Workshop@東大AORIに参加し、発表を行いました。
2022/05/22-06/03:JpGU Meeting 2022@千葉に参加し、発表を行いました。
2022/03/29:オンライン研究会「日本における地磁気永年変化標準曲線の確立に向けて―考古資料・溶岩・堆積物の古地磁気・岩石磁気研究の最前線」に参加し、発表を行いました。
2022/03/09:国立極地研究所共同利用研究集会「北極海底WS:北極海における固体地球観測研究の挑戦」に参加し、発表を行いました。
2022/03/07-08:核-マントル共進化令和3年度研究集会@オンラインに参加しました。
2022/02/28:科研費・若手研究「核マントル熱進化解明を目指した巨大斜長石単結晶による古地磁気強度復元」が採択されました。
2022/02:PEPI誌の論文の査読を行いました。
2022/02/02:Frontiers in Earth Science誌から論文が出版されました。論文へのリンク
2022/01/13:Frontiers in Earth Science誌に白亜紀スーパークロンに関する論文が受理されました。
2021年
2021/11/25-26:流体の地球科学:物理学-化学-地質学-生物学的研究からの統合的な展望 ― InterRidge-Japan研究集会 ―@東大AORIにオンライン参加し、発表を行いました。
2021/11:PEPI誌の論文の査読を行いました。
2021/10/18-19:LIPs勉強会@国立科学博物館筑波研究施設に参加し、発表を行いました。
2021/10/08:海中海底工学フォーラムZERO@Virtualに参加しました。
2021/09/12-14:地磁気・古地磁気・岩石磁気 夏の学校2021@Virtualに参加し、発表を行いました。
2021/07/27:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)から「特に優れた業績をあげた大学院第一種奨学生に対する返還免除制度」による第一種奨学金返還免除(半額)を授与されました。
2021/05/30-6/06:JpGU Meeting 2021@Virtualに参加し、発表を行いました。国立極地研究所の藤井昌和博士と議論を行いました。
2021/06/04:九州大学QRプログラムわかばチャレンジ研究費「海底玄武岩を用いた古地磁気強度測定の確立」が採択されました。
2021/04/01:九州大学大学院比較社会文化研究院に学術研究員として着任しました。
2021/03/16:ドレッジによる岩石試料の最前線@Virtualに参加しました。
2021/03/03:琉球弧ダイナミクスの新展開:島弧ダイナミクスの理解への新たな切り口@Virtualに参加しました。
2021/02/26:大気海洋研究所 博士論文公開発表会に参加し、発表を行いました。
2021/02/14:GJI誌から論文が出版されました。 論文へのリンク
2021/01/12:東大新領域創成科学研究科の博士学位請求論文審査に合格しました。論文へのリンク
2020年
2020/12/18:G-cubed誌から論文が出版されました。 論文へのリンク
2020/12/17-18:海と地球のシンポジウム2020@Virtualに参加しました。
2020/11/07:GJI誌にエチオピア洪水玄武岩の古地磁気方位に関する論文が受理されました。
2020/09/26:G-cubed誌に3000万年前の古地磁気強度に関する論文が受理されました。
2020/09/07-11:地磁気・古地磁気・岩石磁気 夏の学校2020@Virtualに参加し発表を行いました。
2020/07/12-19:JpGU-AGU Joint Meeting 2020@Virtualに参加・発表しました。
2020/02/20-28:国立科学博物館の佐野貴司博士、カイロ大のEzz Khalaf博士、アディスアベバ大のMulugeta Alene Araya博士、東工大の石川晃博士、JAMSTECの清水健二博士とともにエチオピア洪水玄武岩の調査に参加しました。
2019年
2019/12/09-13:AGU Fall Meeting@サンフランシスコに参加・発表。ミュンヘン大のStuart Gilder博士、カーネギー大のPeter Driscoll博士、カリフォルニア大バークレー校のMargaret Avery博士、ベン・グリオン大のRoi Granot博士、スクリップス海洋研究所のLisa Tauxe博士、リーハイ大のKenneth P. Kodama博士、京都大学の穴井千里博士と議論を行いました。
2019/11/25-26:海洋地殻-マントルの新たな実像:オマーン掘削から、海域観測から―InterRidge-Japan研究集会―@東京大学大気海洋研究所に参加。極地研のXiangyu Zhao博士、神戸大の島伸和博士と議論を行いました。
2019/10/24-25:第146回 地球電磁気・地球惑星圏学会総会および講演会(SGEPSS)@熊本に参加し、発表を行いました。学生発表賞の受賞には至りませんでしたが、優秀発表者に選出されました(https://www.sgepss.org/awards/auroramedal/146_2019_comment.pdf#page=1)。
2019/09/06-08:地磁気・古地磁気・岩石磁気 夏の学校@山梨県富士山科学研究所に参加し、発表を行いました。
2019/07/24:Mini-workshop for Afar Rift Large Igneous Province@国立科学博物館筑波研究施設に参加し、発表を行いました。
2019/05/17-26:新青丸航海KS-19-8に乗船し、フィリピン海北西部の掘削調査に参加しました(航海報告)。
2018年
2018/12/10-14:AGU Fall Meeting@ワシントンD.C.に参加し、発表を行いました。スクリップス海洋研究所のLisa Tauxe博士、ラトガース大のDennis Kent博士、リバプール大のAndy Biggin博士、ロチェスター大のRichard Bono博士と議論を行いました。
2018/11/24-25:SGEPSS@名古屋に参加。慶尚大学校のHyeon-Seon Ahn博士と議論を行いました。
2018/11/03-04:海底火山:躍動する地球を見る窓シンポジウム@国立科学博物館に参加しました。
2018/09/30-10/01:第三開洋丸航海に乗船し、伊勢湾採泥調査に参加しました。
2018/07/13-23:白鳳丸航海KH-18-2に乗船し、四国海盆のドレッジ調査に参加しました(航海報告)(成果論文)。
2018/04/08-13:EGU General Assembly@ウィーンに参加し、発表を行いました。
2018/03/28:J-DESC Workshop「科学掘削の未来 〜過去・現在を知り、アイディアを形にしよう〜」に参加しました。
2018/03/08-11:J-DESC コア解析基礎コース@高知コアセンターに参加しました。
2017年
2017/12/04-05:平成31・32・33年度学術研究船白鳳丸研究計画企画調整シンポジウムに参加しました。
2017/11/27-28:「海洋リソスフェアの蛇紋岩化作用と物理・化学・生物 プロセス 〜InterRidge-Japan研究集会〜」に参加しました。
2017/05/20-25:JpGU-AGU Joint Meeting 2020@千葉に参加し、発表を行いました。